正月を明けて、りっしんべん氏と山口♂が駅伝メンバーギリギリの7人を揃えたところで放送大学の願書を提出した。
放送大学は願書を提出さえすれば入学できる開かれた大学だ。合格通知を受け取ってはいないが、入学した気分になった。そうなると大学の部活動で最初にやることはひとつである。
そう、新歓だ。
しかし、放送大学 関西陸上競技部は新設の部活のため、もてなしてくれる先輩がいない。それなら自分で自分をもてなせばよいではないか。こうしてセルフ新歓の開催が決まった。
場所は鯛よし百番という飛田新地料理組合が管理している区域の端にある料亭。
立地の癖の強さもさることながら、建物は大正時代に建てられた遊郭をそのまま使っており、店員は全員スリランカ人という謎多き料亭である。
世間を騒がしているcovid-19で自粛が始まる直前の週末。
鯛よし百番に到着し、メンバーが揃うのを待った。ほとんど知り合いとはいえ、現在主務をしているジュンジ、宴会係をしている南とは初対面である。地方から上京したての18歳のようにドキがムネムネしていた。
そうこうしているうちに、山口♂がキックボードで青春通りをかっ飛ばしながら颯爽と現れた。何故か山口♀が横で走っている。嫁を新地のど真ん中突っ切らせる暴挙に山口♀はブチギレていた。
読者諸君には、女性と鯛よし百番に行く際は駅から遠回りだが南からまわり込むのをオススメしたい。
さぁいよいよ新歓の開始だ。
自己紹介と学連ゼッケンの授与から始まった。
発案者の主将、りっしんべん氏
主務をしたいがために入学したジュンジ氏
人事で学生の採用をしている学生、監査のニコチンランナー
SNSの更新をしている山口♂
合宿係のありてぃー
全日本大学駅伝の1区でその身体のゴリゴリ具合で世間をざわつかせた宴会係の南
そして、私
阿賀氏はハワイの波が高くて船が出港せずサーフィンをして暇をつぶしていた時期だったか、蔵王でスキーをしていた時期だったか忘れたが欠席である。
形式的な儀式は終了し、無礼講である。何しろ新歓とはいえ、二十歳をみなゆうにこえている同級生。何を話したかはあまり覚えていないが何枚か写真を貼っておこう。
関西が誇る上新電機の歌を歌っていたことと、何故か南が西成に捨てられていた掃除機を持って帰ろうとしていたことは覚えている。
しかし、楽しい時は長くは続かないものだ。世間はしばらく自粛期間に入っていき、放送大学 関西陸上競技部の活動も当然なくなっていく…
放送大学 関西陸上競技部物語
第一章〜出会い〜
(この物語はフィクションです)
続かない
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