部活動が停止されたまま6月になった。我々は各々が自制の効くいい大人であるので粛々と自主練習に励んでいた。他校はいったいどうやって部のまとまりを保っているのだろう。
そこで、部活動が制限されているとはいえ私的な交流まで制限されてはいないことと、飲食店の自粛も解除されたこともあり宴会係が主務と監査のお誕生日会を企画しようと言い出した。
場所は中華『福山楼』
看板娘のオバちゃんがかなり強力な個性を放ち、病みつきになること間違いなし。長居の名店である。
誕生日会に不釣り合いな店ではないかという指摘はもっともである。
しかし、私たちはバースデーケーキにロウソクを立てて息を吹きかけるような事はしない。灰皿にタバコを突き立てるのだ。全く問題がない。
そして、2時間飲み放題1000円+1人700円以上の注文という値段設定、そして一品一品の量が多すぎるという2点で、学生の財布に優しい非の打ちどころがない。関西インカレの打ち上げにも使いたいと思っている。
さて、おっさんしかいない誕生日会とは何をするのか。ひたすら酒を飲むのである。34歳になった監査は早々に寝てしまったが、冷蔵庫から瓶ビールを自給自足し自分のペースで手酌して飲むのでまだこの時点では激しい飲み会ではない。
たらふく中華を腹に詰め込み、瓶ビールを1人3本ずつ飲んで福山楼を後にした。
さて、ここからの動きがかなりクセが強い。他校には真似できないと思う放送大学関西の強みではないか。
腹がいっぱいなのでとりあえず、西成区の萩ノ茶屋と今池の間にあるテレビタウンという昭和の風情を残しすぎておっさん以外寄り付かないゲームセンターで時間を潰すことにした。
このゲームセンターの特徴は50円でコインを交換するのだが、全く無くならず、永遠に遊べてしまうところだ。まさにおっさんの墓場である。
シラフではすぐに飽きるが、みながそこそこ酔っていたので曇りすぎて画面がほとんど見えない競馬ゲームでかなりの時間を潰した。
さて、私たちは昼から飲んでいる暇なおっさんばかりではない。だんだん日も傾いてきたところで会計と女子マネが現れた。満腹感も収まってきたので、場所の移動である。
次に入ったのは居酒屋『八福神』
今は閉鎖されているかの有名な西成労働福祉センターの5件くらい隣にある開放感あふれる名店である。
当初は会計は前回の新歓に来れなかったこともあり、初対面同士で親睦を深めて和やかな雰囲気であった。
しかし、20時をすぎて主将が労働を終えて到着すると状況が一変する。主将が次の日から4連休だというのだ。それに宴会係は黙っていなかった。
結果からいうと、宴会係は主将に敗北した。そのあと女子マネを口説いたりしていたが覚えていないらしい。
店を出てからご機嫌の主将はドンキホーテの歌やバニラの歌などを大声で歌いながらあいりん地区を闊歩していた。
そこでコンビニの前で寝ながら酒を飲んでいる髭で顔が見えない真っ黒なおっさん3人組が女子マネに対して『お嬢ちゃん、まわり変な男ばっかりやけど大丈夫か?』と心配そうに声をかけていた。おっさん達の方がよっぽど怪しいと思ったが、ドンキホーテの歌を歌いながら歩いている我々はそれより怪しかったのかもしれない。
環状線を潜って浪速区に入り、その後もう一軒行くのだが長くなったので割愛する。
これは一体なんの話だったか。
お誕生日会の話である。
放送大学 関西陸上競技部物語
第二章〜親睦〜
(この物語はフィクションです)
続かない
Comments